脳の病気まるわかり

脳ヘルニア

 

脳ヘルニアとは

 

 

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ヘルニアという病気があるのはご存知のことと思います。

 

ヘルニアというと皆さん何を思い浮かべますか。

 

腰や首のヘルニアもありますし、お腹の中のヘルニアもあります。

 

腰骨のヘルニアを腰椎椎間板ヘルニア、首の骨のヘルニアを頚椎椎間板ヘルニアと言います。これは、脊椎の骨と骨の間に挟まっていてクッションのような役割をしている椎間板というものが、骨と骨の間から外に飛び出して脊髄(神経組織)を圧迫するようになって症状を出すものです。

 

お腹のヘルニアのことを、脱腸とも言います。これは、腹腔という胃腸や肝臓などを入れている袋に隙間が出来て、そこから腸管が飛び出て腸の機能が悪くなるものです。

 

ヘルニアを広辞苑で引くと、「臓器の一部が、本来あるべき腔から逸脱した状態。腹部では、鼠径ヘルニア・大腿ヘルニア・臍ヘルニア・横隔膜ヘルニア、腹部以外では椎間板ヘルニア・脳ヘルニアがある。」となります。

 

脳ヘルニアについてです。脳ヘルニアは脳が脱出することです。脳が本来あるところから飛び出た状態は、脳が強く圧迫を受けた時にのみ起こります。ですので、脳は機能することが出来ません。脳腫瘍でも、頭部外傷でも、水頭症でも、脳出血でも、脳梗塞でも、実はその多くの場合について、これらの末期状態は脳ヘルニアなのです。脳ヘルニアは、人の脳の死が迫っている状態であることを意味します。

 

脳には3つの部屋があります(参照:頭蓋内の3つの部屋)。脳ヘルニアは、この3つの部屋と関連します。

 

どこからどこへ脱出するか。実は、脳ヘルニアには数種類あります。

 

 

帯状回ヘルニア(図①)

 

脳出血、脳梗塞、脳腫瘍など、一側の大脳半球を圧迫するような病変が出現した時に、病変の存在する側の大脳が圧迫を受けて、帯状回と呼ばれる脳が病変のある側から反対側へ飛び出るので、こう呼ばれます。軽度のものはしばしば見かけますが、重篤な臨床症状は現れません。

 

 

テント切痕ヘルニア

 

鉤ヘルニア(図②)
下降性ヘルニア中心性テント切痕ヘルニア 図③)

脳出血、脳梗塞、脳腫瘍など、大脳半球を圧迫するような病変が出現した時に、病変の存在する側の大脳が圧迫を受けて、大脳の一部が小脳の入っているスペースへ飛び出したものを言います。脳幹や、この付近を通る動眼神経が圧迫を受けて脳幹の機能障害や瞳孔不同が出現します。瞳孔の左右差はこのヘルニアの徴候であり、意識障害が危機的な状況であることの表れとも言えます。
とりわけ、病変は左右のうちの一側の大脳半球を圧迫することが多いですので、一側の側頭葉の一部が飛び出ます(図②)。これを、鉤ヘルニアと呼びます。

 

 

小脳扁桃ヘルニア(図④)

 

小脳の一部が、大後頭孔を通じて頭蓋骨の外に飛び出た状態を言います。小脳扁桃というのは、小脳の一番下にある部分ですので、まずここが飛び出ます。後頭蓋窩に3㎝を超える大きな病変があるときや、大脳の病変によりテント切痕を超えて大脳が落ち込んできたとき、二次的に圧迫を受けて生じることもあります。延髄を圧迫して、呼吸停止に至りますので、危険なヘルニアと言えます。

 

 

上行性テント切痕ヘルニア(図⑤)

 

小脳に病変があるとき、圧迫された小脳は大後頭孔から頭蓋外へ飛び出るのみならず、小脳テントを超えて上へも飛び出ます。これを、上行性テント切痕ヘルニアと呼びます。テント切痕とは、小脳テントの切れ目(一番内側の端)のことを言います。これも、後頭蓋窩がかなり強く圧迫された状態でのみ出現するものですので、CTやMRIでこの徴候を確認したら、手術を急がねばなりません。