脳の病気まるわかり

– 開頭術 –

 

開頭手術とは

 

ひとことでいうと、頭蓋骨を広く開放して、脳が見えやすい状態にして行う手術一般です。

 

一昔前までは、脳神経外科手術というと、開頭手術というイメージでした。昔から、脳神経外科の主流の手術で、非常に多くの場合に用いられます。しかし、内視鏡手術や血管内手術、定位放射線療法などの発達により、近年では開頭術が用いられる状況が少しずつ減少しつつあります。

 

皮膚を切開して頭蓋骨を露出した後、頭蓋骨に複数の穴を開け、その穴の間を繋いで頭蓋骨の一部を一時的に外します。場所や大きさは、病変の存在する部位により様々です。最も代表的なのは、左右どちらかのこめかみの付近を中心とした開頭術です。
難易度は様々で、専門医前の後期研修医レベルのものから、エキスパートのみが行うものまであります。

 

 

この手法が用いられる主な手術

 

・外傷性頭蓋内血腫(硬膜外血腫・硬膜下血腫・脳内血腫)に対する血腫除去術
・(非外傷性)脳内血腫に対する血腫除去術
・脳動脈瘤に対する動脈瘤頚部クリッピング手術
・もやもや病や主幹動脈閉塞症に対するバイパス手術
・脳腫瘍に対する腫瘍摘出術
・脳ヘルニアに対する減圧開頭手術
・神経血管圧迫症候群(三叉神経痛・顔面けいれん)に対する微小血管減圧術
・てんかんに対する焦点切除術・脳梁離断術・機能的半球離断術

 

 

開頭手術の種類

 

ひとことで「開頭手術」といっても、病変の部位によってどこをどのように開頭するかが異なります。大きく分けると、大脳(小脳テントより上)の病変と、小脳・脳幹(小脳テントより下)の病変に分かれます。

 

大脳の病変に対する開頭手術で一般的なのは、

・こめかみの付近の開頭手術(前頭側頭開頭):多くの脳動脈瘤や脳腫瘍の手術で用いられます。

・前額のあたりの開頭手術((両側)前頭開頭):前交通動脈の動脈瘤や、一部の前頭蓋底~トルコ鞍近傍の腫瘍などの手術で用いられます。

・傍正中部の開頭手術:頭部の正中部分には上矢状洞という大変太い動脈が前後に走っているので、これに気を付けながら開頭を行います。

・その他の部位の開頭手術:通常、病変を囲むように四角またはやや丸みを帯びた形で開頭します。

 

 

開頭手術のプランニング

 

「手術の成否は開頭で決まる。」とも言います。

 

手術に際して最も重要なのはプランニングです。頭の中でどのように病変が見えるのかをイメージします。イメージに合った部位の脳が見えるようにするにはどのような範囲の開頭を行えばいいかを検討します。そして、その部位の開頭に必要な皮膚の切開を考えます。

 

 

開頭手術の実際

 

通常、開頭手術は全身麻酔で行います。

 

手術室に入ると、麻酔医の先生の方で全身麻酔を導入されます。寝た状態になって、通常は頭を3点固定器でピン固定されます。また、手術の内容や術者の方針によっては手術ナビゲーションシステムや神経モニタリングシステムなどのセッティングを行います。それら全てが終了すれば、術野を消毒して手術が開始になります。

 

まず、予定されていた部位の皮膚をメスや電気メスで切開します。皮下に存在する筋肉や筋膜は、部位や術式により皮膚と一緒に切開したり分けて切開したりする方法があります。

 

皮膚の切開が終わると、頭蓋骨が見えてきます。まず、専用のドリルを用いて頭蓋骨に1円玉程度の大きさの穴を、3-4か所(多い時で6か所程度)あけます。この穴を”エントリーホール”と呼びます。専用のドリルには、気動式(空気圧で動く)のものと電気式のものとがあります。ドリルで脳に穴が開くかというと、先端にセンサーがついていて、固い頭蓋骨を貫くと自動的に止まる仕組みになっています。

 

エントリーホールが開いたら、硬膜が見えます。硬膜と骨は通常、ある程度密着していますので、専用の道具をエントリーホールから挿入して、硬膜と骨との間を剥いで隙間を作ります。そして、専用のドリルの先端を換えて、エントリーホールとホールの間を結ぶようにして繋ぎ、開頭する部分の骨を頭蓋骨の他の部分から分離します。裏の方では硬膜と骨が癒着している部分が残っているので、ここに注意しながら骨を持ちあげると開頭が終わります。

 

開頭が終わると、まだ脳ではなく、硬膜という脳を包む膜が出てきます。裏にある脳を傷つけないように注意しながら硬膜を切開すると、脳が見えます。これで開頭操作が終わります。