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– アテローム血栓性脳梗塞 –

 

アテローム血栓性脳梗塞

 

 

アテローム血栓性脳梗塞は主に、頚動脈や脳内の名前がついているような太い末梢血管の閉塞や高度狭窄が原因で起こります。従って、比較的大きな脳梗塞の原因となりえます。

 

ただし、太い動脈からは細い穿通枝血管が出ていることもあるので、基底核などを巻き込んだ脳梗塞になることもあります。血管の解剖については脳血管の解剖をご参照ください。

 

このタイプの血管狭窄や閉塞では末梢の血流が不十分となって脳梗塞を起こすほか、血栓が末梢に飛んで塞栓症(artery-to-artery; A-to-A)を起こすこともあります。

 

アテローム血栓性脳梗塞の原因であるアテローム動脈硬化は、血管壁にコレステロールの塊が付着して生じます。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などの生活習慣病が原因と言われています。

 

 

症状は

 

 

血栓のできた血管の部位によって脳梗塞のできる部位や症状が全く異なってきます。

 

血栓のできる主要な血管に、内頚動脈、中大脳動脈のほか、椎骨動脈、脳底動脈があります。いずれの血管にせよ、上記のような大きな血管に狭窄や閉塞が生じた場合、大きな脳梗塞ができる可能性がありますが、周囲からのバイパス血管(側副血行路)が発達していれば脳梗塞が出来ずに済むこともあります。ですので、症状としても無症状のことから、生死にかかわるような大きな脳梗塞が生じる可能性まであります

 

症状については、脳梗塞の部位別に考えなければなりませんが、主要な症状としては、片麻痺失語視野狭窄、行動異常(認知症のような症状)、失認(自分の体や外界について部分的に正しい理解が出来なくなること;左右失認、空間失認、片側無視など)、失行(ある一定の動作ができなくなること;着衣失行、構成失行、観念失行など)、意識障害などです。

 

内頚動脈の病変の場合、血栓が末梢に飛んでいくと、それが内頚動脈の分枝である眼動脈に辿り着くことがあります。すると、一過性に病変と同じ側の片目が見えなくなります。これを、一過性黒内症と呼びます。

 

椎骨動脈の病変の場合、後下小脳動脈を巻き込んで延髄と小脳に脳梗塞を起こし、回転性のめまいや嘔吐、構音障害、半身の感覚障害、小脳性運動失調を伴います。これをWallenberg症候群と呼びます。

 

アテローム血栓性脳梗塞の死亡率は6%程度と報告されています。

 

 

治療は

 

急性期

 

治療としては、発症から4.5時間以内では、t-PAという血栓を溶かす薬(血栓溶解剤)を使うことができます。これにより閉塞した血管が再開通する場合があります。うまくいけば、脳梗塞が最小限の範囲で済みます。4.5時間を過ぎると効果がないばかりか副作用の方が問題になりますので、できるだけ早く病院を受診することが大切です。

 

4.5時間以上経過した患者さんのうち、内頚動脈や中大脳動脈などの太い動脈の閉塞が原因の患者さんに対しては、8時間以内に血管内治療による血栓回収療法を行うことができるかもしれません。

 

それ以外の患者さんに対する主な治療としては、血液の固まりができるのを抑える薬(抗血栓薬)や脳細胞を保護する薬(脳保護薬)などが使われます。抗血栓薬には点滴薬と飲み薬があります。点滴は最大で2週間になります。

 

 

慢性期

 

 

脳梗塞の原因として内頚動脈や中大脳動脈の閉塞や高度狭窄があれば、血行再建術(外科治療)の適応評価を行います。高度狭窄で血流が落ちている場合や狭窄部位が塞栓源となっていて将来に脳梗塞を再発するリスクが高いと評価される場合には手術を検討します。こうした主幹動脈の閉塞に対しては、バイパス血管をつなぐ手術(浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術)を行います。一方、内頚動脈の高度狭窄に対しては、狭窄度に応じて内頚動脈の狭窄を広げる手術(頚動脈内膜剥離術(観血的手術)もしくは頚動脈ステント留置術(血管内治療))を行うことになります。

 

 

予防

 

 

アテローム血栓性脳梗塞の予防には、主に抗血小板薬を用います。不十分な場合には2種類以上の抗血小板薬を内服することもあります。その他、高血圧や糖尿病などの基礎疾患の治療はとても重要です。喫煙者は禁煙を、飲酒を好む方は最小限に留めることが重要です。

 

 

 

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