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– くも膜下出血 脳動脈瘤頚部クリッピング術 –

 

脳動脈瘤頚部クリッピング術

 

 

 

 

頭蓋骨の一部を開けて脳を直接見ながら、顕微鏡下に脳と脳、もしくは脳と骨の隙間を開いていき、脳動脈瘤を確認し、直視下に脳動脈瘤の根もとに専用のクリップを掛ける方法です。

 

破裂してくも膜下出血を起こした脳動脈瘤や、未破裂の脳動脈瘤に対して行います。

 

脳動脈瘤の部位や大きさにより、各メーカー100種類程度の長さや形状のクリップがあり、これを駆使して脳動脈瘤の内部に血流が入るのを防ぎます(各メーカーと言っても、日本のSugita clipと有名な脳神経外科医のYasargil clipしかありません)。

 

決して容易な手術ではありませんが、くも膜下出血は比較的身近な病気であり、多数の手術を経験した脳神経外科専門医なら、当然できてしかるべき手術手技の一つです。

 

 

具体的な方法

 

脳動脈瘤へのアプローチ

 

脳動脈瘤へのアプローチに必要な部分の頭蓋骨を開頭した後、手術用顕微鏡下に手術を行います。内頚動脈系の血管にある脳動脈瘤であれば、まずシルビウス裂(前頭葉と側頭葉の間にある裂け目)を開くことから始まります。

 

シルビウス裂の表面を包むくも膜の裏にある太いシルビウス静脈やそこからの分枝血管に注意しながら、くも膜を切っていきます。そして、シルビウス裂の中に奥深く入ると、中大脳動脈の分枝を複数確認できます。この分枝血管を追っていくと、中大脳動脈の本幹に辿り着くことが出来ます。この部位に出来るのが、中大脳動脈分岐部動脈瘤です。

 

更に、中大脳動脈を中枢側へ追いつつ、くも膜を開いていくと、前大脳動脈の起始部を確認できます。ここが内頚動脈の先端部に当たります。更に、内頚動脈側に行くと外側で前脈絡叢動脈と後交通動脈の起始部を確認することが出来ます。そのすぐ中枢には前床突起と前頭蓋底の骨があります。この近傍の動脈瘤に対しては、しばしばこの周辺の骨を削る必要があります。

 

一方、前大脳動脈を辿ると視神経があり、更に進むと前交通動脈、反対側の前大脳動脈などが見えてきます。この部位には前交通動脈瘤があります。

 

 

脳動脈瘤の処理

 

どの部位の動脈瘤であっても、動脈瘤が見えると、動脈瘤を刺激しないように注意しながら、辺縁の組織を剥離して、動脈瘤の周囲がよくわかるようにします。そして、動脈瘤の基部から剥離を始めます。

 

未破裂脳動脈瘤であれば、術中破裂の可能性はそこまで高くなく、またパーフェクトなクリッピングを心がけるべきですので、脳動脈瘤を可及的に周囲から剥離してムキムキの状態にします。全体がよく分かるような状態にしてから、最も安全で確実な方向から動脈瘤の基部にクリップを掛けます。

 

破裂脳動脈瘤の場合には、そうは行きません。動脈瘤そのものを剥離しようとすると、手術中に破裂してしまうかもしれません。この時に、動脈瘤に出来た出血点の穴を広げてしまうと、致命傷になってしまうかもしれません。ですので、破裂脳動脈瘤を触るときにはとても慎重になります。破裂脳動脈瘤に対処するときには、動脈瘤の基部にクリップが挿入できるための十分に安全なスペースさえ確保すれば、それでクリップを掛けます。

 

 

クリッピング術における一般的な危険性

 

 

まずは、術中破裂が挙げられます。術中の、しかも脳動脈瘤の位置を確認できる前に破裂すると、対処が困難になってしまうことも予想されます。また、何とか対処しても、動脈瘤が出来たその血管そのものが閉塞して、大きな脳梗塞が出来る可能性があります。症状としては、反対側の手足の麻痺言語障害意識障害などが生じますし、あまりにも大きいと命に関わります。

 

脳梗塞は、破裂した場合に限ったものではありません。余程のことがなければ母血管そのものを閉塞してしまうことはありませんが、そうでなくとも、周辺を通る小さな血管がクリップに巻き込まれて閉塞し、小さな脳梗塞が出来てしまうこともあります。脳梗塞が出来ると、反対側の手足の麻痺や、言語障害、視野障害などが出現する可能性があります。前交通動脈瘤の場合には、小さな脳梗塞でも高度の記憶障害を生じる可能性があります。

 

くも膜下出血や予期せぬ血管損傷などにより周囲の脳が急に腫れてくるような場合には、周囲の一部の脳を切除することもあります。また、そうでなくとも脳の影に動脈瘤が隠れて見えない場合にも脳を少しだけ切除することがあります。

 

脳内出血や手術操作により脳損傷が生じたら、その後にてんかんを発症することがあります。

 

その他、一般的な手術同様に、術中・術後の動脈瘤と直接関係ないような出血、創部感染症、全身麻酔や輸血に伴う危険性などがあり得ます。

 

 

 

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