脳の病気まるわかり

頭部外傷について

 

頭部外傷の要点

 

頭のケガというのは、新生児から高齢者まで幅広い年齢層で起こりえるものです。

 

外傷と脳神経外科との関係は深く、切っても切れない関係にあると言っても過言ではありません。転倒でも、転落でも、交通外傷でも、スポーツ外傷でも、頭を打つ可能性があり、なおかつ頭部打撲は外傷のうちでも最も生命の危機に直結するものです。更に、重症頭部外傷の治療は時間との争いです。ですので、外傷患者が運ばれてくるような救急病院には脳神経外科医は不可欠ですし、外傷の治療の屋台骨は脳神経外科医と整形外科医が担っているといっても過言ではありません。

 

頭部を打撲した場合に起こり得ることを理解する上で、頭蓋骨の存在を意識する必要があります。大きく分けると、頭蓋骨よりも外側、つまり頭皮や皮下で生じること、頭蓋骨の骨折、そして頭蓋内で生じることに分けられます。頭蓋骨よりも外で生じることは、大量出血しないかぎり原則として命に関わることはありません。一方、頭蓋内で生じることはその種類や程度次第で大きな後遺症を残したり、生命の危険性に晒されたりします。

 

頭部打撲後に起こりえること、注意点を大別すると以下のようになると思います。

 

 

脳震盪はないか(意識は保たれているか)

 

脳震盪があると、脳へのダメージが決して軽くはないと言えます。

 

脳震盪は一過性もしくは軽度の意識障害を伴いますが、頭部打撲後にこのような症状を伴うということは頭蓋内に重篤な異常を伴う可能性が示唆されます。

 

更に、脳震盪は例え軽症でも繰り返すことにより重篤な障害を残すことになり、激しいコンタクトを伴うスポーツでは重大視されます。

 

 

頭皮に外傷はないか(皮下血腫、頭皮の裂創・挫創(出血))

 

まず、表面から分かることとして、頭皮の擦過傷(擦り傷)や挫創(挫滅)、裂創があります。そして、皮下出血(たんこぶ;「帽状腱膜下血腫」)が挙げられます。皮下血腫であれば経過観察で自然吸収を待つのみです。

 

一方、出血を伴う創部の挫創があれば止血処置や縫合処置が必要になります。頭皮は血管の豊富な部位でして、血管が切れると患者さんが心配になるくらい出血することも頻繁にあります。ただ、これは慌てずに病院で縫合してもらえば何とかなるので、もしそのような事態になった場合には、患者さんは皮膚を圧迫止血しながら受診してください。病院では、縫合とともに洗浄が重要です。感染予防のために水や生理食塩水で十分に洗い流すことです。また、状況に応じて抗生物質などによる感染対策が必要です。

 

 

頭蓋骨骨折の有無

 

頭蓋骨骨折は、CTや単純X線写真で確認します。

 

一言で頭がい骨骨折といっても、骨折の仕方は多種多様です。大雑把な分類として、線状骨折(骨折が線状に比較的まっすぐ生じるもの)と陥没骨折(折れた骨の塊が脳に食い込むように凹む)に分けられます。その他、直上の頭皮の裂傷を伴っている場合を開放骨折(外気に晒される)といいます。開放骨折の場合には、感染の問題が生じます。それは、頭がい骨への感染のほか、頭蓋内や脳への感染も含まれます。

 

開放骨折や、脳に食い込むような陥没骨折、脳脊髄液の漏出(髄液漏)を伴うような骨折、変形して整容上の問題があるような骨折では治療の対象となります。

 

一方、線条骨折は単独では治療の対象とならないことも多いです。ただ,頭蓋骨骨折があるということは骨折した部位の近傍を走行する硬膜動脈からの出血を伴っている可能性があります。ですので、次に述べる頭蓋内出血の可能性を危惧する必要が生じてきます。

 

 

頭蓋内に出血していないか

 

最も重要なことの一つは、頭蓋内に出血しているかどうかです。頭部外傷後に緊急を要する事態の大部分は頭蓋内出血によるものです。重い後遺症を残したり、命に関わるような重篤な事態になったりしりえるからです。

 

これは、通常の皮膚の怪我などと同じで出血は外傷の直後から始まります。症状の出現が早いということはそれだけ急速に出血が拡大している証拠です。一方、出血が緩やかだと症状が出現するのは遅れますし、重篤な症状にも結び付く可能性は下がります。止血が完成すると症状が出ることなく留まります。一般に、24時間以上経って何も症状が出ないことを確認することが重要です。

 

外傷性頭蓋内出血の代表例として、表面の皮膚に近い方から、硬膜外血腫硬膜下血腫(外傷性)くも膜下出血(外傷性)脳内血腫脳挫傷、(外傷性)脳室内出血などがあります。

 

 

頸椎の損傷はないか

 

これも頭蓋内出血と並んで、生命に直結する非常に重要なポイントになります。

 

頭部を強く打撲すると、必ず頸部が強く揺さぶられることになります。その際に、過剰な力が首に加わると、頸椎(首の骨)の損傷を起こします。軽症であれば問題ありませんが、重篤な場合は四肢まひを生じたり、呼吸機能に関わる神経系の障害を生じて生命の危機に晒されたりする可能性もあります。

そこで、頭部を強く打撲した可能性がある場合には、頸椎損傷がないことが確認できるまでは頸部を固定して力が加わらないようにする必要があります。

 

 

 

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