脳の病気まるわかり

先天性水頭症

Hydro (mmc) moderate

中等度の水頭症

Hydro (mmc) extreme2

高度の水頭症

 

 

新生児水頭症

新生児が水頭症になる原因はいくつかあります。中でも比較的頻度の高いのものとして、開放性二分脊椎(脊髄髄膜瘤)キアリII型奇形に合併する水頭症、脳室内出血後の水頭症、髄膜炎後、中脳水道の先天性閉鎖があり、その他にも遺伝子の関与すると思われる先天性水頭症、先天性の脳腫瘍に伴う水頭症などが挙げられます。

 

 

開放性二分脊椎

 

開放性二分脊椎は、背骨の後方成分の一部と同部位の皮膚の形成が不良で、背骨の中に包まれているはずの脊髄(中枢神経の一部)が外界に露出している状態を言います。開放性二分脊椎の中には、キアリ奇形と呼ばれるものを合併する可能性が8割程度あるとされています。キアリ奇形というのは、小脳の一部が頭蓋骨の外にはみ出した状態を言います。このキアリ奇形があると、脳脊髄液の循環が不良となり、水頭症を併発します。

 

 

脳室内出血後

 

脳室内出血後の水頭症は主に、未熟児に生じます。未熟児では脳室を形成する脳室上衣の血管壁の形成が不十分で未熟なため、そこから容易に出血するのです。体重が少なければ少ないほど、在胎週数が短ければ短いほど、出血する可能性は高いと考えられ、在胎30週未満、1000g未満の児では約1/3で出血が見られます。一昔前まではまだ未熟児の全身管理がうまくいかず、脳室内出血が重症化しやすかったため、頻繁に水頭症の症例がありました。最近は、新生児集中治療室(NICU)の充実、全身管理の進歩などにより重症の脳室内出血が減少する傾向にあり、シャント手術が必要な症例も減少しつつあります。

 

髄膜炎後

 

髄膜炎後にも水頭症になることがあります。これは、成人においても同様です。炎症が生じると脳脊髄液の吸収障害が起こり、そのために水頭症になるのです。

 

 

中脳水道狭窄症

 

中脳水道は、第三脳室と第四脳室を結ぶ細長い経路です。ここが何らかの原因でうまく発達できずに閉鎖したままになることがあります。すると、第三脳室から第四脳室へと脳脊髄液が流出することができません。中脳水道の先天性閉鎖(もしくは狭窄)による水頭症は、重度の場合には新生児期に診断されますが、軽度の場合には発見されずに成長し、成人期や老年期になって検査を受けて初めて指摘されるケースもあります。同様に、側脳室と第三脳室を繋ぐモンロー孔閉鎖も水頭症(一側側脳室の拡大)の原因になります。

 

 

遺伝性水頭症

 

遺伝子の関与した水頭症は比較的稀です。上述の中脳水道閉塞が遺伝性に生じることもあります。X染色体に絡んで生じるX染色体連鎖性遺伝性水頭症(X-linked hydrocephalus)はその代表です。

 

 

先天性脳腫瘍

 

先天性脳腫瘍は比較的稀なものです。ただ、新生児期の脳腫瘍は進行が早く、比較的大きなものが多いので、脳室系が圧迫されて水頭症を来しやすいとも言えます。基本的には、腫瘍に対する治療が水頭症の治療に繋がりますが、水頭症に対するシャント手術が必要になることもあります。

 

 

その他

 

ダンディー・ウォーカー症候群、頭蓋骨縫合早期癒合症、軟骨形成不全といった病気は、先天性のものですが、乳児期や幼児期、或いはそれ以降に水頭症による徴候が明らかとなって治療の対象となることもあります。

 

純粋な水頭症とはやや異なりますが、全前脳胞症や巨大な孔脳症なども頭蓋内に脳脊髄液が過剰に貯留する原因となり、同様な治療が必要になることがあります。

 

 

新生児の水頭症の症状

 

新生児の水頭症の場合、症状は成人と異なります。成人では認知機能障害や歩行障害などが出現しますが、赤ちゃんの場合にはこうした症状は分かりません。赤ちゃんでは頭蓋骨がいくつかに分かれていることがポイントです。頭蓋骨同士の間には隙間があり、代表的な隙間が大泉門と呼ばれますが、こうした隙間が張って、膨らんできます。また、水頭症になると脳室が拡大するのですが、頭蓋骨同士が離れていることにより代償が効いて、頭の大きさが比較的急速に拡大してきます。更に、頭皮が薄くなって頭皮の血管が目立つようになります。
赤ちゃん自身は、水頭症が進行するまで明らかな症状が出ません。ただ、黒目が下を向くようになります(落陽現象と言います)。また、長期間放置しておくと、発達が遅れることになります。

 

症状のまとめ

・大泉門が張ってくる。
・頭囲が異常に大きくなる。
・頭皮が薄くなり、頭皮の血管が浮き出てくる。
・活気がない。あるいは不機嫌。
・両方の黒目が下に下がってくる(目がずっと下を向いている; 落葉現象)
・嘔吐することが増える。
・首が据わらない。
・発達が遅れる。

 

 

新生児の水頭症に対する治療

 

新生児期の水頭症に対する治療の原則は、シャント手術になります。原因や施設によっては新生児期に内視鏡による手術を選択することもあるかもしれませんが、2歳未満、殊に1歳未満ではその成功率が低くなると言われています。

水頭症の予後は、手術しなかった場合、発達が停滞することになります。つまり、高度の水頭症を放置していると、ついには寝たきりで言葉もしゃべらず、食事も食べられない状態になります。数週間~数年後に生命の危機が訪れるかもしれません。また、中等度の水頭症を放置していると、首が据わるのが遅れたり、その後も寝返り、ハイハイ、立つ、歩く、言葉をしゃべるなどが遅くなり、IQが低い状態になります。また頭囲も大きくなります。

早期に適切な水頭症治療を行った場合、知的には正常レベルになる可能性があります。ただし、脳室の拡大のほかに、脳実質に何らかの傷(先天性奇形や外傷、腫瘍、脳血流障害などによるもの)がある場合には、その傷が原因となって知的レベルに影響を与える可能性があります。

 

 

 

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