脳の病気まるわかり

意味性認知症 と 非流暢型/失文法型失語

 

意味性認知症と非流暢型/失文法型失語は前頭側頭葉変性症の亜型です。脳の委縮する部位にやや特徴があり、そのため症状の出方が異なるものです。いずれも主に言語障害が主な特徴です。

 

意味性認知症

 

側頭葉の前の方に強い萎縮がみられます。
意味記憶、つまり一般的な”知識”に関する記憶が障害されます。意味性認知症に伴う失語では、物の名前が分からなくなり、物の名前を言ったり、単語を正しく読んだりすることが苦手になります。正しい名前を知らせても、単なるもの忘れと違い、思い出すことはできません。
過去に経験したことに関するエピソード記憶は比較的よく保たれます。ただ、会話の流暢性は保たれています。
3~15年(平均8年)の経過で、進行すると行動異常を伴うようになります。

 

診断基準(難病情報センター)

 

(1) 必須項目:次の2つの中核症状の両者を満たし、それらにより日常生活が阻害されている。
A.物品呼称の障害
B. 単語理解の障害
※ これらの障害に一貫性がみられる、つまり、異なる検査場面や日常生活でも同じ物品、単語に障害を示す。

 

(2) 以下の4つのうち少なくとも3つを認める。
1. 対象物に対する知識の障害(特に低頻度/低親密性のもので顕著)
富士山や金閣寺の写真を見せても、山や寺ということは理解できても特定の山や寺と認識できない。信号機を提示しても「信号機」と呼称ができず、「見たことない」、「青い電気がついとるな」などと答えたりする。
有名人や友人、たまにしか会わない親戚の顔が認識できない。それらを見ても、「何も思い出せない」、「知らない」と言ったりする。

 

2. 表層性失読・失書  団子→“だんし”、三日月→“さんかづき”
3. 復唱は保たれる。流暢性の発語を呈する。
4. 発話(文法や自発語)は保たれる

 

(3) 高齢で発症する例も存在するが、70歳以上で発症する例は稀である。

 

(4) 画像検査:前方優位の側頭葉にMRI/CTでの萎縮がみられる。

 

(5) 除外診断:以下の疾患を鑑別できる。
1) アルツハイマー病
2) レビー小体型認知症
3) 血管性認知症
4) 進行性核上性麻痺
5) 大脳皮質基底核変性症
6) うつ病などの精神疾患

 

(6) 臨床診断:(1)(2)(3)(4)(5)の総てを満たすもの。

 

 

非流暢型/失文法型失語

 

左前頭葉と側頭葉にまたがる部分の言語領域の萎縮に基づく、進行性の失語を伴う病気です。会話の流暢性がなくなり、発語が減少します。単語や文法の誤りが増えます。
4~12年(平均8年)で進行し、行動異常を伴うようになります。

 

 

診断基準

 

以下の3つ全てを認める
1. 言語の障害が最も顕著である
2. 言語障害は日常生活の障害の主要原因である
3. 失語は初発症状で、罹病早期は主症状である

 

以下の4つを認めない。
1. 症状の様式は他の非神経変性疾患もしくは内科的疾患でよく説明できる
2. 認知障害は精神疾患でよく説明できる
3. 顕著なエピソード記憶、視覚性記憶、視空間認知障害
4. 顕著な初期の行動障害

 

I. 臨床診断
中核症状:以下の1つ以上を認める
1. 発話における失文法
2. 努力性で滞りのみられる発語、不規則な音韻の誤りや歪み(発語失行)を伴う

 

II. 画像を含めた診断
以下の2つを認める
1. 臨床診断が非流暢/失文法型失語である
2. 画像は、以下の結果の1つもしくはそれ以上を認める
a. MRIにて左前頭葉後部から島優位の萎縮
b. SPECTもしくはPETにて左前頭葉後部から島優位の血流低下もしくは代謝低下