脳の病気まるわかり

– 意識障害(持続性) –

 

医学生は、意識障害の原因をAIUEO TIPS(アイウエオチップス)と覚えます。これは、意識障害を誘発する疾患の頭文字を覚えやすく並べたものです。

 

 

Alcohol   アルコール、Wernicke脳症(ビタミンB1欠乏症)
Insulin   低血糖、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、高血糖性高浸透圧性非ケトン性症候群(HHNS)
Uremia   尿毒症
Encephalopathy 肝性脳症、高血圧性脳症、脳炎
Endocrinopathy 甲状腺クリーゼ、副腎クリーゼ、粘液水腫(甲状腺機能低下)
Electrolytes Na、K、Ca、Mg異常
Opiate/Over dose 麻薬、薬物中毒、離脱症状
O2&CO2    低酸素(肺炎、喘息、気胸、心不全、心疾患、肺塞栓、高山病、肺挫傷など)、CO中毒、CO2ナルコーシス
Trauma/Tumor 脳挫傷、急性硬膜外血腫、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍
Temperature  偶発性低体温、高体温、悪性症候群
Infection    脳炎、髄膜炎、脳膿瘍、敗血症、呼吸器感染症
Psychiatric/Porphiria 精神疾患、ポルフィリア
Syncope/Seisure 失神、てんかん
Stroke/SAH   脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血

 

 

 

Syncope/seizureは一過性意識障害として解説しました。

 

本稿では、それ以外について頻度の多いものから解説します。

 

意識障害の患者でまず最初に疑うべきは、やはり脳疾患です。その中でも頻度が圧倒的に高いのは、脳血管障害です。突然発症、急速な進行、血圧の上昇、片麻痺、瞳孔不同、言語障害などは、脳血管障害を疑う所見といえます。血圧の上昇は、特に重症の脳出血やくも膜下出血で顕著な傾向にあり、しばしば収縮期血圧で200mmHgを超えます。ただ、脳梗塞でも心原性塞栓(心臓で出来た血栓が脳に飛んで脳血管が突然閉塞する)の急性期には血圧は高くない傾向にあります。

 

意識障害を生じる他の疾患では、血圧が平常より高くなることは比較的少ないといえます。脳梗塞との鑑別が比較的難しいものとしては、糖尿病性低血糖です。麻痺を伴うこともあります。意識障害の患者さんについては、必ず真っ先に血糖値を確認する必要があるといえます。そして、血糖値を確認したらすぐに補正するのが正しいと言えるでしょう。低血糖を誘発するのは、糖尿病の持病があって血糖降下薬を服用している方が殆どですが、稀にインスリノーマという腫瘍の方なども低血糖の原因となります。

 

低血糖と反対に、高血糖でも意識障害を起こします。未治療の糖尿病を放置していた場合、もしくは重症の糖尿病で血糖コントロールがうまくいっていない場合には血糖値が300mg/dl以上となり、高血糖に依る意識障害を引き起こす可能性があります。

 

アルコール性の意識障害は、急性アルコール中毒によるもので、しばしばみかけるものですが、患者の状態と病歴から概ね推測がつきます。

 

薬物中毒による意識障害も比較的頻度の高いもので、救急外来ではときどき見受けられます。うつ状態の患者さんなどに多く、睡眠薬などの大量服薬によるものが多いようです。内服直後であれば胃洗浄を、内服からかなりの時間が経過していれば大量点滴が中心となります。

 

 

 

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