脳の病気まるわかり

– 片頭痛 –

 

片頭痛とは

 

最も有名な頭痛「片頭痛」は、機能性頭痛の代表格の一つです。

 

セロトニンという物質が脳の太い血管(内頚動脈)に作用して、収縮のあとに異常拡張することが原因として有力視されています(血管説)。それに加え、脳を覆う硬膜と脳血管に分布する三叉神経(頭部の感覚神経)の刺激の関与を絡ませて提案されたのが「三叉神経血管説」です。

 

片頭痛は“片”という文字通り、基本的に頭の片側のみに生じます。生じやすい側は左右の一側に偏っていることが多いですが、どちらにも生じてもおかしくありません。

 

 

片頭痛の特徴

 

典型的な片頭痛の患者さんの場合、まず「閃輝暗点」と呼ばれる前兆を伴います。閃輝暗点とは、突然視野にチラチラあるいはギザギザとした光が見え出して広がっていき、次いで視野の一部が見えづらくなる現象です。見えるものは、万華鏡の模様オーロラのようなもののケースもあります。15分程度で消えます。そして、前兆が終了するころから次第に頭痛が起こります。このような前兆がある人は全体の1/3程度で、前兆を伴わない人も多く存在します。

 

典型的には片側の激しい頭痛で、こめかみから目の周囲、目の奥に感じます。ひどくなると頭全体に広がります。片頭痛が生じると、4時間から時に3-4日にわたるほどの長い間、頭痛が続きます。ひどい人は吐き気おう吐を伴い、日常生活を続ける活こともできなくなって寝込んでしまいます。

 

「閃輝暗点」を伴わないタイプの患者さんも少なくありません。こういう患者さんでも、「頭痛が来そうだ」という予兆を感じることがあります。例えば、イライラ落ち着きのなさ眠気あくび疲労感首の凝り体のむくみ空腹感などがあると言われています。このような症状(予兆)は、片頭痛発作の数時間から1~2日前に感じることが多いようです。空腹時には頭痛が起こりやすいので、1日3回の食事を規則正しく摂取することは大切です。

 

頭痛の発作時には、音や光に過敏になり、光がまぶしくなったり、音がうるさく聞こえることも少なくなりません。

 

特殊な前兆として、感覚症状や運動症状、言語症状などがあります。前兆として運動症状を呈するものは、片麻痺性片頭痛と呼ばれます。

 

頭痛発作が落ち着いた後にも、筋力低下や疲労感、食欲低下などを感じる方も少なくなく、この時期は後兆期とも呼ばれます。

 

女性に多く、青年期~壮年期でよくみられ、老年期には落ち着くことが多いようです。

 

 

生活習慣と発作

 

片頭痛の患者さんのうち、約3/4の方では何らかの誘因があると言われています。

天候の変化、特に天気がどんよりとして気圧が低いときに頭痛発作が起きる方は少なくありません。

ストレスは片頭痛と関係があると言われますが、ストレスから解放され、ほっとした瞬間などもにも片頭痛が起こりやすいかもしれません。寝不足や、逆に寝過ぎも悪いとされます。平日の睡眠時間が極端に短かったり、週末にダラダラと寝るのも良くないかもしれません。

騒音や光、におい、人混みなども誘因と考えられています。女性の場合、生理と関係がある場合もあります。

食べ物との関係では、チーズやチョコレート、赤ワインには、片頭痛を誘発する成分が含まれているので、避けたほうがいいかもしれません。アルコールや喫煙も避けたほうがいいでしょう。

 

 

片頭痛の薬

 

片頭痛持ちの患者さんに、普通の痛み止め(頭痛薬)を使っても十分な効果が得られません。比較的症状の軽い方であれば、アセトアミノフェンや消炎鎮痛剤(NSAIDs)でも効果がありますが、それでは不十分な方の場合にはセロトニン作動薬(トリプタン製剤)が有効で、頭痛が始まった直後にトリプタン製剤を内服すると頭痛が抑えられることが多いです。服用のタイミングは重要で、頭痛がかなり強くなってから飲んでも効果は不十分です。

 

トリプタン製剤には点鼻薬や皮下注射薬もあり、わが国では現在5種類の製剤が販売されています。それぞれの特徴があり、有効性も個人によって変わります。なお、1錠で薬価が800円-1,000円近くする高価な薬ですので注意が必要です。また、この薬は片頭痛以外の頭痛には使用できず、一般に効果もありません。

 

トリプタン製剤の禁忌に、片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛があります。

 

慢性的に片頭痛が起こる人には、トリプタン製剤以外のいくつかの予防薬(β遮断薬(プロプラノロール;インデラル)、カルシウム拮抗薬(ロメリジン;ミグシス)、抗てんかん薬(バルプロ酸;デパケン、セレニカ)、抗うつ薬(アミトリプチン;トリプタノール)、漢方薬など)を定期的に飲んで発作を抑えることも選択肢としてあります。効果には個人差があります。他に、抗てんかん薬のトピラマートやガバペンチンなどにも片頭痛予防効果があることが知られています。

 

片頭痛の方の多くでは吐き気を伴うことが多いので、吐き気止めを用いるのも有効です。

 

 

片頭痛の分類

 

国際頭痛分類第3版beta版(ICHD-3β)

 

前兆のない片頭痛

 

1.1 前兆のない片頭痛の診断基準

A. B~D を満たす発作が5回以上ある

B. 頭痛発作の持続時間は4~72 時間(未治療もしくは治療が無効の場合)

C. 頭痛は以下の4つの特徴の少なくとも2項目を満たす

 1. 片側性

 2. 拍動性

 3. 中等度~重度の頭痛

 4. 日常的な動作(歩行や階段昇降など)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける

D. 頭痛発作中に少なくとも以下の1項目を満たす

 1. 悪心または嘔吐(あるいはその両方)

 2. 光過敏および音過敏

E. ほかに最適なICHD-3の診断がない

 

前兆のある片頭痛

 

1.2 前兆のある片頭痛の診断基準

A. BおよびCを満たす発作が2回以上ある

B. 以下の完全可逆性前兆症状が1つ以上ある

 1. 視覚症状

 2. 感覚症状

 3. 言語症状

 4. 運動症状

 5. 脳幹症状

 6. 網膜症状

C. 以下の4つの特徴の少なくとも2項目を満たす

 1. 少なくとも1つの前兆症状は5分以上かけて徐々に進展するか、または2つ以上の前兆が引き続き生じる(あるいはその両方)

 2. それぞれの前兆症状は5~60分持続する

 3. 少なくとも1つの前兆症状は片側性である

 4. 前兆に伴って、あるいは前兆発現後60分以内に頭痛が発現する

D. ほかに最適なICHD-3の診断がない、また、一過性脳虚血発作が除外されている

 

 

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