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– Japan Coma Scale(JCS) –

 

Japan Coma Scale(JCS)について

 

JCSは別名、3-3-9度方式と呼ばれます。意識についてまず、

 

I桁: 刺激しないでも覚醒している(≒開眼している)
II桁: 刺激すると覚醒するが刺激をやめると眠り込む(≒閉眼しているが、刺激により開眼できる)
III桁: 刺激をしても覚醒しない(≒閉眼していて、いかなる刺激によっても開眼しない)

 

と3つに分類します。( )の中は私なりの注訳です。それぞれの桁をまた3つに分類します。ただし、意識が正常の場合はJCS 0(ゼロ:零)とします。

 

 

I桁(覚醒: 見当識の正確さで評価)

 

1: 大体意識清明だが、いまひとつはっきりとしない。
2: 見当識障害がある(日時、場所等が判らない)。
3: 自分の名前、生年月日が言えない。

 

【解説】

 

見当識というのは、「人」、「場所」、「時」など、自分のおかれている状況に関する認識のことです。開眼している人でも、例えば脳震盪の直後だとか、麻酔から覚めかけの人などは、周囲の状況がはっきりと飲み込めず、もしくは思い出せず、混乱があります。また、脳に病変がある人の中には、意識が薄れて行く前に見当識が障害されていきます。

 

見当識の中でも、自分の名前や生年月日というのは生まれ持ったもので生涯不変のものですので、ある程度認知症の進んだ方でも言うことができるものです。これが言えないと、「意識清明」からはかけ離れていると言えます。

 

次に、現在の日付や場所ですが、こうした知識は日々刻々と変わり得るものなので、常に新しい状況を理解する能力がなければ分かりません。ですので、これが正しく言えないと、まともとは言えません。

 

なお、こうした見当識が障害されるのは、意識障害がある場合に加えて、認知症がある場合や、脳の短期記憶に関係する部位が障害されている場合、そして失語症・構語障害・失声症などでも生じ得ますので、評価に際しては、原因についても併せて理解する必要があります。

 

 

II桁(≒傾眠: 開眼するのに必要な刺激の程度で評価)

 

10: 呼びかけで容易に開眼する(開眼しない時、簡単な動作に応じたり言葉も出るが間違いが多い)。
20: 痛み刺激で開眼する(開眼しない時、簡単な命令に応じる)。
30: 強い刺激を続けてかろうじて開眼する。

 

【解説】

 

閉眼している患者さんの評価は、どの程度で刺激すれば開眼するかに基いてなされます。最も弱い刺激は声掛けです。刺激の中で最も弱いのは呼びかけで、通常は名前を呼んだりして確認します。名前を呼んでも開眼しなければ、肩を揺すったり、軽く叩いたりなど、体に触れて開眼を促します。それでも開眼しなければ抓るなどの強い刺激で確認します。

 

II桁の患者さんは、刺激で開眼しても、刺激をやめると暫くしてもとの状態に戻ります。

 

なお、寝ている状態は意識障害と区別すべきなので、正確には覚醒と開眼とは異なり、例え患者さんが寝ていても、起きた時には持続的な開眼ができると判断できれば、I桁になります。また、病気で瞼が開かない患者さんも、意識がしっかりしていればI桁とすべきです。

 

 

III桁(開眼しない患者を、動きの程度で評価)

 

麻痺がないことが前提となります

 

100: 痛み刺激に対し、払いのける動作をする。(≒昏睡)
200: 痛み刺激に対し、少し手足を動かしたり、顔をしかめたりする。(≒昏睡)
300: 痛み刺激に反応しない。(深昏睡)

 

【解説】

 

開眼しない患者さんでも、体を動かすことはあります(逆に、開眼している、或いは一時的にでも開眼できる患者さんで手足を動かさなければ、それは意識障害ではなく手足の運動障害が原因です)。深昏睡の患者さんはあらゆる刺激でも手足を動かすことはありません(特殊な反射で動くことはあります)。ですので、昏睡状態の患者さんに対しては、刺激して動くかどうかで確認します。

 

激しく動く場合には、意識障害は比較的軽いと言えます。個人的な経験では、このような患者さんは薬物中毒や代謝障害によく見られるような印象があります。

 

少しだけ動く場合には、意識障害は高度で、しばしば脳に深刻な病変が疑われます。脳の病変にもよりますが可逆性の可能性もあると思われます。

 

深昏睡の患者さんでは病因やその後の治療如何にもよりますが、意識の回復が難しい場合も多いです。

 

 

 

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