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意識消失・意識障害

 

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意識とは

 

 

意識とは何ぞや?これを説明するのは案外難しいものです。広辞苑を紐解くと、「今していることが自分で分かっている状態、すなわち自分自身の精神の直観」、「対象に対する認知を意味する」とあります。

 

意識について医学的に評価する際、我が国ではJapan Coma Scale(JCS)という分類が、世界ではGlasgow coma scale(GCS)という分類があります。意識障害がある患者さんは、まず周囲のことを正確に理解できなくなり、次いで覚醒度が低下して傾眠→昏迷→昏睡となります。昏睡が深いと深昏睡と呼ばれ、過度の深昏睡では人の死へと繋がります。

 

意識が正常な状態を表す言葉に、「清明」や「覚醒」があります。覚醒とは、目が覚めていることで、英語ではawakeです。この定義によると、認知症や記憶障害により他の正常な人が常識として理解しているような例えば名前や日付、場所など(これを見当識と呼びます)が言えない人も、覚醒しているとは言えます。

 

「清明」とは、英語でclearと訳しますが、clearは澄み切っていて一点の曇りもないことを意味します。つまり、意識清明な人は、自分と周りを取り囲んでいる世界について、他の大多数の人間と共通の認識を持っていることが前提となります。例えば、今日は何年何月何日、今は何時、ここは何処から始まり、日本人なら日本と世界、地球と宇宙の存在を理解し、日本の総理大臣が誰かを知っています。赤を赤と認識し、青を青と認識します(色盲の方は除きます)。このように「清明」といえる人の意識状態を、先に上げたJCSでは、JCS 0(ゼロ:零)と評価します。「覚醒」していても「清明」ではない人がいるということです。

 

もしある人との会話で、このような普通の成人なら誰もが知っている共通認識の点について、違和感を覚えるようなら、その人は清明でない可能性があります。ある人と、意識清明な大勢の人とが会話をした際、その人との会話の成り立ちの全体像について多数の人が違和感(不適切さや非流暢さ)を覚えるようであれば、意識清明とは言えないかもしれません。記憶障害や認知機能障害がある方の他にも、せん妄状態の方などがこの中に含まれます。

 

英語では、clear、awakeの他にalertという言葉も意識状態の表現として登場します。Alertとは、「油断ない」、「注意を払っている」という意味ですが、つまり意識がしっかりしていて周囲に対して注意を払っている状態と説明できます。意識障害になると周囲への関心が落ちることとの対比で考えると、意識というものが理解できます。ただ、この言葉には、見当識の程度が評価として含まれておらず、曖昧な点があるかもしれません。

 

また、consciousという言葉についても理解する必要があります。これは日本語では「意識がある」そのままです。これは、「意識がある」「意識がない(unconscious)」の対比で用いる言葉です。つまり、意識を「ある」と「なし」に完全に2つに分けるわけです。意識を2つに分類するのであれば、一つは、周囲の刺激が脳に入力される状態と、脳に伝わらない状態と考えると理解しやすいと思います。つまり、counsciousとは、「人」や「動物」、「物」などの視覚情報、「呼びかけ」、「音」などの聴覚情報、「痛覚」、「温感・冷感」、「振動」などの触覚、「甘い」、「辛い」などの味覚、「香ばしい」、「臭い」などの嗅覚といった情報が脳に入力される状態です。一方、unconsciousの方では、こうした情報は脳で適切に処理されません。

 

ところが、意識というものは2分割できるほど単純なものではありません。意識はall or noneではなく、0か1でもありません。実際には、意識清明な人を100%、脳死の方を0%と仮に表現すると、様々な程度の意識状態があり得ると理解すべきです。冒頭に述べました如く、脳機能障害により意識障害は見当識障害→傾眠→昏迷→昏睡→深昏睡と深まります。こうした意識の状態は%(パーセンテージ)で具体的に表現することは難しいので、様々な尺度で表現されますが、その代表がJCSとGCSです。

 

 

 

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