脳の病気まるわかり

言葉が出ない・理解できない(失語)

 

失語症とは

 

当たり前のように理解し、話していた日本語が分からなくなる状態を、失語症と呼びます。

 

失語症には幾つかの分類がありますが、大きく分けると運動性失語と感覚性失語に分けられます。

 

 

運動性失語と感覚性失語

 

運動性失語とは、喋ったり文字を書いたりすることができなくなるタイプの失語症で、前頭葉の、主にブローカ野という言語野の病変が疑われます。

 

一方、感覚性失語とは、人の話を理解したり文字を読んだりすることができなくなるタイプの失語症で、側頭葉のウェルニッケ野という言語野の病変が疑われます。

 

こうした全ての言語機能を全く果たすことができなくなる場合を、全失語症と言います。

 

その他、人の言うことの真似ができるかどうかなどで、障害の部位を更に推定することが可能です。また、頭頂葉の下の方の障害でも、書くことが出来なくなることがあります。

 

 

失語症の鑑別

 

失語症かどうかは、日常会話で判断できると同時に、物を見せて名前を尋ねる、字を書いてもらう、真似をしてもらう、文字を読んでもらう、指示に従って簡単な動作をしてもらうなどで判定することができます。

 

脳腫瘍の場合など、認知症との区別が容易ではない場合もありますが、基本的には認知症と区別せねばなりません。失語症の患者さんは、言葉を失いますが、意識や視覚的な周囲の状況の理解、感情などは保たれています。

 

また、構音障害とも区別する必要があります。構音障害とは、頭の中では言葉を完全に理解しているが、それを表出するための口や舌の運動障害が原因で言葉にならない状態を言います。失語症の患者さんでは、言葉の理解そのものに問題があります。

 

ある日突然、こちらが言っていることがわからなくなる、会話が通じなくなるといった症状があれば、それは脳梗塞による失語症かもしれません。脳梗塞により脳の局所が障害を受けた場合にはそのような症状が出現することはありえます。

 

一方、数週間の間に言葉の機能が悪化して言った場合には、言語野の近くに出来た悪性の脳腫瘍などの可能性もあります。このような脳腫瘍と脳梗塞との区別が、CTやMRIでも必ずしも容易でない症例もありますので、注意が必要です。

 

非常にまれなことですが、失声症というものがあります。失声症も、失語症とは明確に区別しなければなりません。失声症の患者さんは言葉を当たり前のように理解し、書くことが出来るのですが、何らかの問題で声帯を自由に動かす能力が失われ、声にならなくなってしまう状態です。ストレスが主要な要因だと言われています。

 

失語症の評価の標準的なテストは、標準失語症テスト(standard language test of aphasia; SLTA)と呼ばれるものです。また、失語症の方には、言語聴覚士による言語リハビリが必要です。