脳の病気まるわかり

肥満

 

単純性肥満と症候性肥満

 

肥満は、体に脂肪が過剰に蓄積された状態です。肥満は、体のバランスが崩れた状態であり、代謝に悪影響を及ぼします。肥満が直接、間接的に影響するような合併疾患を誘発しやすくなるため、肥満は医学的にも問題になることは、周知のとおりです。

 

さて、肥満には明らかな基礎疾患を伴わない単純性肥満(原発性肥満)と、特定の病気が原因となって生じる症候性肥満(二次性肥満)とがあります。肥満のうち90%以上は、単純性肥満とされます。

 

 

症候性肥満の原因は

 

 

症候性肥満の原因の多くは、ホルモンバランスの崩れに伴うものです。副腎皮質ホルモン(ステロイド)、甲状腺ホルモン、インスリンなどはその代表です。副腎皮質ホルモンは、体の中に脂肪を貯め込む性質があり、ホルモンが過剰な状態になると肥満を誘発します。甲状腺ホルモンは、体の代謝を促すホルモンですが、これが不足すると脂肪の代謝が進まずに肥満となります。インスリンは、血糖値を下げるホルモンです。インスリノーマは、インスリンを過剰に産生する腫瘍です。インスリノーマの患者さんでは、低血糖発作を避けるために過食になり、結果的に肥満になることがあるようです。

 

その他、遺伝子の異常による病気の一部に肥満を伴うことも知られています。

 

稀なことですが、脳腫瘍の徴候の一つとして肥満になることがあります。ACTH産生下垂体腺腫による中心性肥満と呼ばれるものです。またの名を、クッシング病と呼びます。ACTHは、副腎に作用して「コルチゾール」というステロイドの一種のようなホルモンの分泌を促進させます。つまり、クッシング病になると体内のコルチゾールが過剰になります。その症状の一つが、中心性肥満です。中心性肥満とは、手足はやせているに顔や体が太っている状態の肥満のことです。中心性肥満に加えて、頭痛、高血圧、体毛が濃くなる、ニキビや吹き出物が出やすいなどといった症状がある場合は、ステロイドの過剰を伴うの病気である可能性があります。その他、毛細血管が拡張して皮膚が赤らんできたり、顔にも脂肪がついて丸く膨らんでしまう”満月様顔貌(ムーンフェイス)”などの症状も現れます。

 

クッシング病を含み、副腎皮質ホルモン「コルチゾール」の分泌が多くなりすぎてしまう病気を総称して、クッシング症候群と呼びます。

 

下垂体腫瘍やその他の鞍上部腫瘍の手術後にホルモン分泌が不十分になると、ステロイドの内服が必要になります。そうなるとやはり中枢性肥満になりがちです。その他の病気でも、ステロイドを長い間服用すると副作用として中心性肥満になる可能性があります。

 

その他、視床下部には食欲に関する中枢があり、摂食中枢・満腹中枢として知られます。これらが障害を受けると肥満になる可能性もありますが、その多くはこの部位の脳腫瘍や手術、放射線照射に由来するものです。

なお、抗うつ薬や抗てんかん薬の一部には肥満となりやすいものもあります。

 

 

メタボリックシンドローム

 

「メタボリックシンドローム」という言葉を訊いたことはあるでしょうか。よく、太った人のことを「メタボ」と呼びますが、それは「メタボリックシンドローム」に類する言葉です。

 

中高年の肥満は健康的ではなく、生活習慣を改善したほうがいいというのは何となく理解されている方が多いと思いますが、では実際のところ「メタボリックシンドローム」はどうして良くないのでしょうか。

 

メタボリックシンドロームとは

 

メタボリックシンドロームは、別名「内臓脂肪症候群」とも呼ばれます。お腹の中の腸の周りには元から大網と呼ばれる脂肪組織が沢山あるのですが、メタボリックシンドロームになると、その脂肪が栄養を蓄えて膨れ上がります。

 

内臓脂肪が蓄積されると、それだけでなく、高血圧、高脂血症、糖尿病などの様々な生活習慣病を合併しやすくなります。

 

高血圧、高脂血症、糖尿病は動脈硬化を促進させて、脳卒中や心筋梗塞が起こりやすくなります。

 

 

メタボリックシンドロームの診断基準

 

①腹囲:男性では85cm以上、女性では90cm以上

 

②以下の3つのうち2つを満たす

・血圧:収縮期血圧≧130mmHg または 拡張期血圧≧85mmHg

・血清脂質:HDL-コレステロール<40mmHg または 中性脂肪≧150mmHg

・血糖値:空腹治血糖≧110mg/dL

 

 

肥満の指標:BMI(body mass index)

 

BMI = 体重(kg)÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

で算出されます。

 

身長165cm、体重60kgの人の場合、

 

BMI = 60 ÷ 1.65 ÷ 1.65 = 22.0

 

です。

 

BMIは、18.5~24.9が「正常」です。

18.5未満は「やせ」になります。

25以上は「肥満」になります。

 

 

メタボリックシンドロームの改善

 

 

高血圧、高脂血症、糖尿病があり、肥満の方では、薬による高血圧、高脂血症、糖尿病に対する治療も大切ですが、肥満を改善することもとても重要です。

 

ダイエットして体重を落とすことで、血圧、脂質、血糖値が著明に改善する可能性があります。

 

食事では、脂質・塩分の摂取を控え、カロリーの高い炭水化物も控えます。腹八分を心がけ、アルコールも控えめにします。

 

運動では、ジョギングやウォーキング、水泳などの毎日続けられる有酸素運動を心がけましょう。