脳の病気まるわかり

頭を打った(頭部打撲)

 

病院に連れていくべきか

 

頭を打った場合、直後であればまず、意識があるかを確認することです。「大丈夫か」と声をかけ、返事があり、打撲前後の記憶があれば意識はあるということでしょう。打撲前後の記憶がない場合や、今日の日付や今の場所がわからない、今日の予定がわからないなどの状態があれば、脳震盪という事になります。

 

意識が保たれていて、その他の明らかな異常がない場合、基本的には経過観察することが最も重要になります。誰かがそばについて打撲後の24時間はこまめに様子を見てください。夜は就寝すると思いますが、夜中もときどき声をかけて意識があるかを確認したほうが無難です。

 

なお、頭を打った後に意識消失がなく、いつもと変わりない場合、病院を受診するかどうかについては、打撲の状況や受傷者の年齢や健康状態にもよります。柱や角で打撲したような場合には、直後から脳に大きな異常が生じている可能性は高くありません。一方、滑って後ろ向へ転倒し、後頭部を強打した場合は不安要素もありますし、転落した場合や、工事現場などで重たいものが上から落ちてきて直撃した場合などにはかなり危惧されます。

 

受傷者の要素としては、小さな子ども、高齢者では防御態勢が不十分な可能性もあり、思いのほか強打したかもしれませんので、注意した方がいいです。また、基礎疾患に出血傾向のある患者さん抗凝固薬(ワーファリンなど)を飲んでいる患者さんについては、打撲の程度にもよりますがより積極的に病院に行くことを検討すべきかもしれません。

 

ただ、これらは飽くまでも一般的な目安ですので、必ずそれぞれの状況に応じた判断を行うことが重要です。

 

 

脳は大丈夫?

 

 

頭部打撲後に起こりえる大きな異常は、頭蓋内に出血することです。出血は打撲直後に始まるので、出血量が著しければ打撲後間もなく状態が悪化(麻痺意識障害が出現)し、出血量が少なければ症状は数時間以上経って出現、もしくは症状がでないかもしれません。出血が止まらない状態を放置し続ければ症状が進行していずれ脳が圧迫されて死んでしまいますが、出血の勢いが弱ければいずれ止まるものです。ですので、打撲後から6時間以内は特に重要な時間であり、24時間を過ぎて症状がなければ出血はしていない、もしくは大きな出血には至らずに止まったと考えて差し支えないと思われます。

 

意識がなかった、または他の異常がある場合には病院へ連れていくことを検討しましょう。

 

その他、頭を打って数日以上経過してから麻痺やふらつき、意識障害などの症状が出てくることがあるかもしれません。新たに出てきたのが頭痛のみであれば、それは頚部の捻挫によるものが一番多いですが、時として慢性硬膜下血腫を始めとする何らかの異常を頭蓋内にきたしている可能性もあります。病院に行って検査を受けましょう。

 

 

傷の処置

 

 

頭部打撲後には、傷に対する処置も考えなければなりません。皮下出血のみであれば、それがよほど大きくならないかぎり、病院ですることはあまりありません。擦過傷は傷をよく洗って清潔を保つことになりますが、必ずしも病院を受診する必要はありません。出血を伴う皮膚の挫創や裂創があれば、病院で縫合などの適切な処置を受けるべきです。頭皮は非常に出血しやすいものですので、慌てずに病院に行きましょう。その間は、ガーゼやティッシュなどでしっかりと圧迫しておきます。なお、大して出血していなくても、傷が割れて開いているときには縫合したほうが治りが良いので、速やかに病院を受診しましょう。

 

最後になりますが、子どもの場合、頭蓋内に大きな異常がなくとも、嘔吐を繰り返すことがあります。一度の嘔吐ならそこまで心配せずとも良いですが、繰り返し嘔吐するような場合には念のため病院を受診し、CT検査で異常がないかどうかを確認しましょう。嘔吐が続くような場合には点滴を受けることをお勧めします。