脳神経外科領域の病気の患者さんの場合、吐き気は単独で起こるよりも他の症状に付随して起こることのほうが多いと思われます。
例えば、激しい頭痛であれば吐き気を伴います。
病気としては、片頭痛や筋緊張性頭痛、髄膜炎、脳出血(主に小脳出血)、くも膜下出血などがありますが、筋緊張性頭痛の場合には嘔気を感じることがあっても嘔吐は稀なようです。
頭部打撲後にも嘔気・嘔吐を認めることがありますが、特に子どもで多く経験します。子どもの場合、打撲の程度がそれほど重要でなく、頭蓋内に明らかな異常を伴っていなくても嘔吐を繰り返すことがしばしばあります。
また、めまいが強い場合にも吐き気を伴います。代表的な病気は、メニエール病などの耳の病気です。脳の病気では、小脳の脳梗塞や脳出血で嘔吐を伴うめまいが出現します。
その他、頭蓋内圧が高い患者では頭痛を引き起こしますが、極めて高いと意識障害に陥り、意識が朦朧としていても嘔吐を認めることがあります。
嘔気、嘔吐の難しい点は、胃腸から来る症状と区別しなければならないことです。消化器の病気から来る嘔吐かどうかについて、腹痛や下痢といった症状があればかなり有力な根拠と言えるでしょう。
他にも嘔吐の原因となる病気は沢山あります。妊娠、心因性嘔吐、糖尿病、緑内障、心筋梗塞なども原因して考えられますが、ここでは割愛させていただきます。